いい顔連盟

いい顔をしている俳優というのがいる。

「顔がいい」んじゃなくて、あくまで「いい顔」してる。

 

分かりやすく言ってしまえば「名脇役」「カメレオン俳優」なのだが、私にとっては演技のうまさももちろんだが、何よりもその顔、面構えがいいので好きだったり、なんか気になる、というのがあるので、そういう俳優に出遭うと赤毛連盟ならぬ「いい顔連盟」に登録するようにしている。

 

今回は男優に絞って思いつく限りメンバーを書き連ねたいと思う。

 

ここ数年でいくと、やはり忘れられないのが

 

ウォルトン・ゴギンズ

出演作:『ザ・シールド』『Justified 俺の正義』『ジャンゴ 繋がれざる者』『ヘイトフル・エイト』『アントマン&ワスプ』など

 

なぜ忘れられないかというと、昔々、いろいろあってYoutubeで偶然出くわした映画に出ていたのがこの人で、主役のハンサムな男性が友情以上の感情を持つ相手がこの人だったのだ。でもはっきり言ってこの主役の人よりゴギンズの存在感がすごくて。昔からこの顔だったのに(失礼)。それ以来ずっと記憶に残っていたのだけれど、そのうち『ザ・シールド』に出たり、『Justified 俺の正義』に出たり、今やタランティーノ作品の常連になるほどまでに。ちなみにその映画が18年前のものだから、何となく自分が発掘したような気になって、忘れられない俳優なのだ(でも調べたらその前にもたくさんの作品に出ていて、下積みが長かったのだとわかる)。

シールドしかりJustifiedしかり、悪役の部類に入るんだけど葛藤があったり、悪に成りきってないグレーな人物がとてもよく似合う。そしてアラバマ州出身だけあって、南部訛りがめちゃめちゃハマっている。ニューヨーカーとか想像できないくらい。あの話し方のちょっとゆったりとしたリズムがまた、ゴリゴリの冷血漢ではない、“血の通った悪人”感を醸し出しているのだと思う。

 そういう味のある役どころもいいけれど、南部か西部の田舎町のほのぼのラブストーリーとかちょっと見てみたい。シングルファーザーの泣けるドラマとかでもいいな。

私生活では前の奥さんが自殺してしまったりと悲劇に見舞われたりもしたようだけれど、これからも見続けたいいい顔である。

 

ジョン・バーンサル

出演作:『ウォーキング・デッド』『フューリー』『ザ・コンサルタント』『ザ・パニッシャー』『ボーダーライン』など

 

いや~~、ゴギンズを先に書いたけど、ここ数年でぶっちりぎりの「いい顔」大賞だと思う!!

私がぼんやりと彼を意識し始めたのは『ウォーキング・デッド』のシェーンだったのだけれど、この時すでに主役を食ってましたね。そして『パニッシャー』で自信が確信に変わりましたよ。『ザ・コンサルタント』や『ボーダーライン』でも、ちょい役なんだけど(まあ前者はアレですが)、キョーレツに印象に残る。野暮な役でさえなんか心に残るというか。ほんとにこの人はいい味出してる。彼も、悪い役でも哀れさが滲み出ていたり、ピュアなところが隠れ見えたり。パニッシャーはそんな彼の複雑さが存分に活かされた役どころで、最初に『デアデビル』の方に出てきたんだけど、これまた主役を食うほどの演技で、墓地での告白のシーン(S2E4)はもらい泣きしたほど。その後いよいよ始まった『パニッシャー』も、もう最高ですわ。奥さんひと筋のところにはキュンとさせられ、ちょっとした“バディ”になる相手とのやり取りにはほっこりし、“Semper fi(常に忠誠を:海兵隊のモットー)!!”と叫ぶ場面では一緒に胸を叩いて叫び(たくなり)、復讐の鬼となるシーンでは「殺れ!!一人残らず殺っちまえ!!!」と一緒に殺気立ち。もう応援しかない。

 

プロフィールを調べると、なんとロシアの芸術学校に学び、元ヨーロッパのプロ野球選手で、ハーバードの演劇の先生に見いだされたという訳のわからない経歴!!なぜまずロシアに行ったのか是非聞いてみたい。

そして元プロ野球選手だけあって、確かに肉体も締まっているし、役柄も大体マッチョな感じ。今までユダヤ系の人ってウディ・アレンみたいなちょっとネクラでオタクなイメージがあったんだけど(失礼)、こういうマッチョ丸出しのパターンって新しい気がする(まああの美貌のポール・ニューマンだってユダヤ系なので他にもいるかもしれないけど)。

なんつーか、野球選手というより元ボクサーのような、ちょっと殴られちゃったメイクイーン(じゃがいも)のようなごついお顔をしているんだけど、どうにも惹かれてしまうこの魅力。なんでしょう。やっぱりフランケンシュタインとか狼男みたいな、「哀しきビースト」的たたずまいのせいかな。(私が弱いだけなんですけど)

俺だって好きでやっているんじゃないんだ!とか、やるしかないんだよ・・・とか、どうして俺が!!みたいな心の叫びが顔に出ているというか。

復讐が大好きなのでもうしばらくマッチョなバーンサルでいいのだけれど、やっぱりこの人にもほのぼのコメディとかもやってほしい。と思ったら、『ぼくとアールと彼女のさよなら』という映画に出演しているらしい。とても面白そうなのに日本未公開!DVDを買ってしまおうかしらん。私としては『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』みたいなオフビートな作品がいいんじゃないかと。

 

例えばバーンサル演じる売れない古本屋店主or レコード屋店主の悲喜こもごもとか。赤字続きだけどどうにか雇っているバイトがどうしようもないナードな人見知りだけどバーンサルにだけは心を開いていて、バーンサル何とか彼に恋人候補を見つけたいんだけど、デートを画策しようとした常連客の女性がバーンサルに恋をしちゃって、でもバーンサルは妻子を亡くした過去を引きずっていてなかなか新しい恋に踏み切れない。人見知りのバイト君も実はバーンサルが好きだったりしてうまくいかない三角関係。それを古今東西の名著のフレーズやイカした音楽とともに綴るミニシアター系の物語、とかどうだろう。フォックスサーチライトあたりが製作してくれないだろうか。

 

ビッグバジェットなものばかりじゃなく、こういう(って妄想だけど)インディペンデント系の作品にも出てほしいなあ。あとはあれだな、悪魔祓いに目がないので、苦悩を抱えたエクソシストとかどうだろう。『エクソシスト・コップ』の映画化とか。もう完全に私の趣味だけどw

とにかくこの人の作品にはこれからも目が離せません。

 

まだまだメンバーがいるんだけどつい熱が入って長くなってしまったので今日はこのへんで。続きはまた。