My Dear SVU

あの、「Law & Order SVUロー&オーダー 性犯罪特捜班(長いので以下SVU)」がNetflixで見られる日が来ようとは。

 

このサイトを訪れてくださった方たちは、Netflixで初めて見たクチだろうか(でもいきなりシーズ15からっていうねw)、それとも私の様に、ひかりTVを解約したけれどもどうにもこうにもSVUをleft behindしたのが心残りで心残りで、いつかネトフリかアマゾンでやってくれないか、と一日千秋の思いで待ち焦がれていたクチだろうか。いや、Huluでやっていたのは知っていたけれど、オリジナルドラマの魅力とかいろんな理由でこの二つを契約していたんですけどね。

 

そしてそして!なぜか途中からの限定シーズン(S15~19。大人の事情か)のみの放送、というのが未だにもどかしいけれど、でも比較的最近のシーズンがNetflixで見られると知って、SVUの禁断症状に陥っていた私は、まるでスポンジの如く吸収したのでありました。とかいって、やっぱり見始めると既視感があるので、家事をしながら斜め見だったんだけど。

 

一応、SVUをシーズン1からほぼ全話見てきた者として、このドラマの構成にはいくつかのパターンがあると思っている。

 

①いわゆる通常運転のSVU。本家の『Law & Order』の骨太感に一番近くて、事件発生、捜査、逮捕、起訴、裁判の一連の流れを淡々と、かつリアリスティックにまとめている。ほぼほとんどのエピソードが実際に起きた性犯罪を「元ネタ」にしているため、アメリカの“今”(ある一面にせよ)をまざまざと見ることができるという点において、とても面白く、興味が尽きない。ちなみに、私の感覚ではSVUで見たトピックスが大体10年後くらいに日本(の現実世界)にも「上陸」していることが多く、そういう意味でも防犯啓蒙ドラマとしてとても勉強になる。(例えばストーカーとかリベンジポルノとか)要するに、どの回もめちゃめちゃ面白い。(でも内容が内容だけに、私の旦那なんかは見てらんないらしい)

 

②ちょいイレギュラーな回。おそらく、もう本家を超えてシーズン21まで続いているくらいなので、さすがにマンネリしてくるときもある。私はそれを打破するためだと睨んでいるのだが、ちょっと①の内容とは違うときがある。例えば、最初のとっかかりは性犯罪なんだけど、捜査するうちに全然違う事件になっていくというパターン。性犯罪から逸脱してるじゃん!というツッコミは、この番組をこよなく愛するがゆえにあえてしないでおく。あとは、シーズンの最終数話でやることが多いパターンで、主人公の宿敵のような超凶悪サイコパス的な犯人との対決。あるいは陰謀も絡んだ巨悪との闘いを、数話に渡って見せるパターン。ぶっちゃけ言うと、前者は私、あんまり好きじゃないんですね。というのも、凶悪サイコパスってやっぱりすげームカつくからついついコーフンしながら見ちゃうんですけど、それって他の「普通の」ドラマでもやってることというか。視聴者にも怒りを煽ってそれで引っ張って見せていくというのはなんかLaw & Orderらしくないなというか。もっとリアルな性犯罪のディテールとかアメリカの捜査、司法の難しさとか、そういうのをメインに据えて描いてほしいので、サイコ役のゲスト俳優の演技や凶悪さにフォーカスしちゃうと途端にらしさを失ってしまう気がするんですね。それでもやはり、随所にアメリカらしさが散りばめられているので完全に落胆したりはしないのですが。巨悪との闘いとかはL&Oらしくて好きです。

 

③普段の(①のような)「いかにもアメリカの今」のディテールを描くわけではないのだが、シンプルに犯罪と向き合う回。①のようでいて③のようでもあるのだけれど、そのどちらでもない。いわば犯罪者と刑事の人間ドラマといったらいいのかな。私がこのパターンで思い浮かべるのは、かつてのオリビアのパートナー、エリオット・ステイブラー刑事(クリストファー・メローニ)と、マシュー・モディーン演ずる性犯罪者の対峙の回。見直してないので記憶があいまいだけれど、確かこの回は、二人きりの舞台劇のような内容だった。マシューとステイブラーが取調室で延々と対話するのだ。二人の息詰まる演技合戦。だけど②のように露悪的な内容で視聴者を感情的に引っ張るのではなく、①のようなリアリズムと二人の迫真の演技で見る者の目を逸らさないという内容になっている。普段のSVUがわりと、アメリカで実際の起こっていることの「表層のリアリティ」を描いているだけに、こんな回は、逆に犯罪心理の深層に迫っていくようで、惹きこまれる。

 

今回「祝!SVUネトフリ放送」としてざっとエピソードを見てみて、特に私が印象に残って好きだった回をこのパターンに当てはめてみると、シーズン17のエピソード11、Townhouse Incident「ある日の出来事」。IMDbのレビューなんかを見ても、この回だけダントツで良かったりするのできっとみんな同じ思いなんだろうと思う。

この回は、オリビアが金目当ての凶悪犯に人質としてとられてしまうというそれだけのとてもシンプルな内容。犯人役もマシュー・モディーンほど有名でもないし、今回は裁判のシーンもなく最後は犯人の射殺とオリビアの解放で終わるので、本当に事の始まりと終わりを描いただけの45分。でも、オリビアは死なないと分かっていても息詰まる展開だったし、薬漬けの犯人が結局人質の一人をレイプしてしまうあまりにも残酷なリアリティも、それに対するオリビアのプロフェッショナルな対応もSVUならではだったし、オリビアの異変に気づいてからの仲間たちの迅速な行動、オリビアとタッカーの犯人との交渉も勉強になった(私が来世刑事に生まれ変わったときに)。そして、自ら最後の人質となり、外に出たときのオリビアの迅速な動き!あそこは最初に見た時に何度も再生したけれど、再び見たときも同じことをしてしまったw

そして個人的によかったのは、無事犯人射殺、仲間が駆け寄りオリビア保護、で終わったところ!何だか昔の、「銀幕」の頃の映画の終わり方を見ているようでちょっとスカッとしたのだ。今でこそ映画でもドラマでも、何かと余韻を残したり、ちゃんと全部の伏線を回収したりしてるけど、昔の映画って「はい、助けました!音楽ジャーン!The Endジャーン!長すぎるエンドロールなし!はい終わり!」っていう感じだった。それがある意味別の余韻というか、すっきりと後腐れなく席をたてる感じがあるのだ。

ちょっとマンネリ気味かな~、というときにこんなシンプルかつ力強いエピソードを持ってくるなんて、さすが長寿ドラマ。しかも調べてみると、この回のライターは女性だったのも嬉しかった。大物になってね!

 

あとはいつものようにミーハー視点で振り返ると・・・

 

♡やっぱりマンチ勇退の回はほんとうにしみじみした。最初のスピーチのシーンとか、みんなすごくリラックスして、半分素だったんじゃないかな。盟友フィンの表情がたまらん。ボルチモア時代の映像や共演者まで出ていて、マンチがいかにみんなから愛されていたか分かった。特別検察官として第二のキャリアを歩むので、また出てくるんだけど・・・(それがまた嬉しいの♡)

ちらっとデスクの映像で出てくる、陰謀論関係のオブジェとか最高。

 

♡新キャラ、カリシはいいよねw 女心を絶対くすぐると思います。ああいうね、髪をなでつけてる人というのは、「洗いたてはどんな髪型なんだろう」という想像を絶対に掻き立てる。私だけですか?そしてその妄想に応えるかのように、カリシぼさぼさ頭きました!しかもフィンとのコラボ!刑事のおとり捜査って劇中劇のようで面白いよね。フィンの刑務所でのギャング風はもうハマりすぎて・・・爆笑。完全にICE Tでしたよね。

あと、長いことホームレスやってたときもよかったよカリシ。イタリア系でカトリックというキャラも最高です。「俺はカトリック。復讐が大好物なんだ」っていうセリフがもう私の大好物。(ラテンの仰々しさ&カトリック&悪魔&悪魔祓い大好き。)あと子どもの扱いが上手くてそれなのにアマンダに全然振り向いてもらえないところもたまらない。

そして何より、L & Oシリーズは普通のドラマのように、登場人物たちの恋愛模様に多くを割かないので、こうやってわずかなプライベートを拾っては妄想できる余地をたくさん残してくれるところ!ここでスピンオフの「シカゴP.D.」とか「シカゴファイヤー」みたいに恋愛しまくりとか見せられたらドン醒めなわけですよ。L&O、そしてSVUにはあくまでもカッチカチのハードボイルドであってほしい、でもキャラへの愛着と妄想への餌は適度に撒いてほしい、この丁度いい塩梅が完璧に保たれているところが末永く愛されるゆえんだと思うんですよね。私だけ?あ、そうそう、先述のタッカー。あんなに嫌な奴だった内部捜査部のタッカー。でも見た目はめちゃセクシーだったタッカー。あのタッカーとオリビアがいい仲になるなんて、私の夢を叶えてくれたようなもの。ムカつくからのラブラブ。でもちゃーんとそのへんの詳細ははしょってくれるSVU。完全に分かってる。

 

♡カリシとかバーバのサヨナラとかに気を取られていて忘れていたけれど、ニック(・アマーロ)にフォーカスした回も素晴らしかった(S16 E12 “Padre Sandunguero”)。これはパターンでいうと③だね。シンプルかつ二人の演技のぶつかり合い。ニックの父親役のアーマンド・アサンテ、「マンボ・キングス」がとても好きだったけれど、この回は本当にクソDV親父を見事にリアルに演じていた。私も自分の経験を思い出して、ニックの気持ちが他人事と思えなかった。エリオットも母親とのいろいろがあったし、ニックも、アマンダも家族とのしがらみにもがき苦しんでいる。刑事といえど、いろいろと問題を抱えているところもリアル。しかも、しつこく言うけど、やっぱりあくまでも深追いしないんだよな。紛れもない人間ドラマなんだけれども、やはり現象面に重きを置いてるというか。だから軽はずみでもない。本当に絶妙の塩梅。

なんか思い切り軽薄なミーハーブログにするつもりが、SVUへの熱い想いが溢れ出てしまったので、ひとまずここで一区切り。続きはまた後日。